ほぽゆー

南方熊楠全集』 第六巻 398頁辺りで、バンシーに関するいろいろをやってゐた。
 支那の文献に、人の死ぬ前に泣く娘さん鬼(幽霊 中国ではこう書く)とか、小家だと少数で、大家だと御大人数で号泣する鬼(南方翁はこれを「バンシー組合」と称する上に、その泣鬼は野郎がゐるらしい)が出るとか、ロシヤのドモヴォイも死者の出る前に泣く、アイルランドでは狐もやる、また、「出るのがアレ」の反対で、カンボジアで王が、なんちゃって正妻だかなんだかで、九頭の蛇のお姉さんと同衾しなんかする。その蛇の方が見えなくなると崩御が近いと言ふのが真臘なんとかにあるとか、どっかで、まづそこら辺へ来たおっ様の袈裟を狐が銜へたので、そこへお寺を建てたところ、そこのご住職がお亡くなりになる前にこうこうと言ふ声が、とかの話を列挙する。

「時空を超えてあなたは一体何度――
私の前に立ちはだかってくるというのだ!!
南方熊楠!!!」

 タピオカよりもこっちが。そりゃ『MMR』のミシェルよりは役に立ってるけども。

ミシェルと言ったら Gegenes Nostradamus (標準英名 がなんとかスキッパーで、別名が「汚い飛行者」を指すDingy swift)の和名「ノストラダムスハイイロセセリ」が、ググってもヒットせん。
 セセリチョウは、諸書で、てふてふキチガイのてふてふ番付で松竹梅とあって蛾の下のゲスに位置する、とか、この種は集めない蒐集家がゐるなどと言はれるほか、蛾マニアの方はもふもふてふてふとして収集するなどとかの指摘が。さう言ふのでラッフルズセセリのやうな美麗なスキッパーさんもゐらっしゃるのだが、えーと〈定期〉

 『東京ヒゴロ』 松本大洋 別居せざるを得なかったマンガ家が、その解れた奥さん&娘とその辺で遊ぶ。ちゃんと やるせない のでなくて、謎の充実感が出はする。