ふぬぽー

町山広美さんの『怪しいTV欄』まだやってた。信濃毎日新聞なんておくやみ欄しか見てないので知らんかった。なんかアレなので週刊文春町山智浩さんの連載も見てない。
 赤い方の保守反動的なこの新聞で、若者が共産主義に興味を持ってゐるとやる、第一面の下の奴があった。ああさよけな感じである。アレは何年か勉強して、卒業しないとおバカになると言ふのが世界の定説の筈である。

 『河童駒引考』の解説を見てたら、『反デューリング論』訳出したのが、昭和22年とこっちの本にもあった。いやまぁ。アレなんだけど。
石田英一郎先生は男爵の家にうまれて、襲爵する辺で、マルクス先生にかまけ、お上へ爵位を搾取させることになり、戦後を迎へて、なんだっけ、どっかの大学の先生になって、学生運動の波に乗って、赤い学生と共闘して大学の改善に関するいろいろをやって、過労(多分)で亡くなるといふ壮絶な人生を送ってゐる。この辺はさう言ふ資料に書いてあった筈なんだけど、でもまぁ。

 スピリッツをまたいで、『新九郎 奔る!』がやってた。主人公はちゃんと不正を認めない人で、ホモサピエンスのグリズリーさんやハイエナさんや狼さんの間にもまれていろいろしてゐる。伊勢新九郎さんは最初に三十歳代で出てるんだから、以前の、安彦良和(虹色のトロツキーとか)、坂口尚(石の花とか)とかみたいな、大人のいろいろにもまれて青臭い兄ちゃんがのたうち回って終り、にならない筈。今のところは。

 サマセットの荒地には、「白い手の精霊」と呼ばれる、カバノキの精が、居るさうである。
キャロル・ローズの精霊なんとか、アンナ・フランクリン『図説妖精百科事典』でも「the one with the White hand」で出る。
 カリッカリにやせ細った体で、白くて細い枝のやうな手をした女性と言ふ姿をしてをり、黄昏時に樺とか楢の林から起き上がり、旅人へ付き纏ふ。そして、人へ触れる。その、箇所が頭だと狂気が、胸では死が吹き込まれ、さういふ人の然るべき所に、白い手の形が描かれてゐると言ふ。のは共通する。

 健部伸明編著『幻獣大全』430頁では、サルマンがウルクやオークの顔へ、自分の紋所である白い手を描くと言ふ設定に、作者の悪い冗談とする根拠として、この伝説に取材したのをデフォにしてゐると言ひきってゐる。作者先生はたかがサマセットの伝承くらゐ知ってさうだけど、その辺がー。ちょっとー。