うんぱえー

小林快次『恐竜まみれ』

 冒頭は、諸般の事情でグリズリーさん(ハイパーカルニヴォアみがある)とこんにちはすることになったダイナソー小林!!の話。掴みはいい筈。

 小林先生は前から恐竜特にオルニトミモサウルスの関係をやってたと思ったら、学生時代にワニさん(厳密にはちゃんとしたワニさんになってからのジュラ紀辺りの種類らしいのだが、先生は2013年にクルロタルシなどの「ざっくりワニ系」の本を書いてゐる)の研究をしてゐた。さう言ふのを踏まへると「胃石の発見」とかは、「インテレクチャルな別枠の人」な感じが(共同発見者のLu junchanらしき人は同姓同名同綴で他の人がゐない限り英語版のWIKIで調べると「翼竜」関係がかなりヒットする)。てふか、 1971年生まれの人が学生時代の1997年に恐竜発掘隊のおまけで行って、「『ジュラシック・パーク』に出てくるガリミムスのような」生態を持つオルニトミモサウルス類の原始的なやつを発見して、アレしてソレしたといふ訳で。

 この本の中に「トロオドン」と言ふ記述が。小林先生の出たNHKの特集(では「トロオドン」の子供が父上から仕込まれる。上白石萌音様の良いみ声で喋る要らん演出がうざい)を書籍化したものでも「トロオドン」であった。ラテニヴェナトリクスとトロオドンの標本を突き合せてみたらトロオドンの標本があれだったので消しゴムさん登場、トロオドンの表記さん退場したわけではないらしいんだか何だか。かのリテレートの記述でステノニコサウルスでなくてもいいのが、ちゃんとアカデミスムの面倒なアレで、誤記とかでないよなやっぱ。 「トリカヘチャタテ(ちんぽがあるメスが雄の体内にある精巣へ突っ込んで交尾)が発見されてるけどエデアグス(挿入器の意の生物学用語らしい)でなくて「ペニス」ぶら下げてる虫がそこそこいる問題」とか「“劣性遺伝”“優性遺伝”は教科書でまだ現役問題」とシンクロしたら嫌だ。

 リーダビリティは普通。あと恐らく普通の古生物学に関するリテラシーを持つ先生は、よく標本を見つけることからもともと仕事上の同僚に「(猛禽)アイ」と呼ばれてゐるさうである。むかわ龍は先生に来た情報が「多分陸上の恐竜」「骨の一部」だったはずで、さう言ふのと物理的に「北海道のその辺はそこの地層ができたころ当時海」「化石の触媒に必要なのは水(海水でも可)」「海の者は結構残ってる」といふ知識とか多分経験則もあるらしい から、他が大体ある筈だからどうの、といってほぼ全身骨格が残ってる可能性を指摘する小林先生は、もはやアレである(千里眼的なののまうちょっと気の利いた表現をするため小一時間考へて断念)。

 バーナード嬢曰く。 なろうまで行きますか。

 週刊ポスト 「ネットのバカ リアルのバカ」連載がぐちゃぐちゃである。『ネットのバカ』で吉本に関するいろいろ。

 ちばてつや漫画館 

『復讐のせむし男』所収といふか紹介されてゐる。なんだっけ、呉智英先生が、これを誉めてゐたが、これが雑誌に掲載された初の作品だったとは!!いいけど、こっち所収の自伝でもちば一家が戦時中~他でお世話になった徐さんは「中国人」(´・ω・`)  ちば先生と言ったら、田中圭一『ペンと箸』で先生の好物「こづゆ」がどうたらと言ふの(田中先生はソレを摂取して「日本人のDNA」がどうたらいふ)を見た後、『ひねもすのたり日記』の方で、こづゆ(骨湯にこのルビ)が出ると、ああ、な感じ。秋津島へ来たちば一家は、こっちで骨湯に遭遇してゐる。ちば先生は別に、少女マンガはきゃわゆい娘さんを書く訓練とぜぜこを稼ぐだけでやってゐるらしく、「こういうのやりたいから少年誌よりやりやすいあっちへ」と言ふわけではないらしい。 

 マショウのあほすたさん ガンダム某にかまけてゐたあほ娘は、中二病にもかまけてゐた。中二のヴェクトルでポエムの中に「スジャータ」が出るのはいいセンス。

 

 小林快次『ワニと恐竜の共存』