すのでー

 荒野に獣慟哭す 夢枕獏作 作画伊藤勢 2

 南洋の土人精神圏を説くのは大変よろしいのだが。
 てふてふ を南洋語ティギティギ(ティギティギ飛ぶからと説明)と対応させる。さらに「バタフライや胡蝶という感性よりもこっちに近い」とか言ふ。

 まづ、秋津島固有の表現では、蝶は「かはびらこ」あるいは「かーびる」である。なので劇中登場する「ひらひら」が近い。
 さらに鱗翅目はてふだけに「ちょうきめえ」いきものと捉へられ、支那の音である「TiE」を無理やり発音した「てふ」で表現したと言ふのが定説である。
 こんなやうなデフォルトの一般教養を持ってゐる人が言ふのである。微妙である。原作の人は支那の方との関連を示唆するナニを書いてゐるはずである。

 そんで以て、これのあとがきにある、伊藤先生の本が、アメリカに紹介され翻訳された際に、多神教的な者をキリスト教的なものにしたためニュアンスが全く異なったとか、欧州系台湾系はけっこう良い仕事をしてゐるとか、あったので、スカーレット・ヨハンソンの出る「攻殻機動隊」はかなり期待が薄い。ああ、北野武御大も出るんだった。さらに期待できん。