日曜日 である

 朝、フジテレビを見る。北朝鮮から脱北した、申なんとかさんが、淡々と語ってゐた。  申さんは、暴力機構から、厳密には偉大なる北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国と言ふ凶悪極まる暴力機構にぎちぎちなのだが、そのためにネポティズムから解放されてゐた。語彙も少なく、「灰色で彩られる」世界で家族と言ふ概念が判らない(のでおかんと兄弟衆が脱北する計画を練ってゐた所を密告したさうである)と語る彼により、まああの国がいかに凶悪かは判ったが、さう言ふ語りで、家族は大事とか、北朝鮮は悪いとかの「フジテレビの正義がずたずたになりさう」な、何ぞがあったのでTV切る。

て言ふかこれに出てくる話が大体だった。

 野良へ仕事しに行くと ヒメオドリコソウはあるけど 土筆も生えてるよ。でネギは移植栽培がど素人でも可能だよ。

 畑の近所ではこまかい犬が散歩に来る。帰りにファミリーマートへ寄ったら、隣の車の後部座席から、ゴールデンレトリバーの人が元気に飛び出してきた。運転席から下りたおばさんは、こっちへ固まった顔を向けた。ちょっともふりたかったが、わんこはかたずけられた。ちっ。

 ブックオフで百円(税抜き)だったので「武林クロスロード」を買ふ。別に作者はきちんとした支那キチガイで、結構武侠小説とか読んでそこで書かれてさうなレトリックが出る、かっこいいものであるが、筋肉お姉さんがばんばん脱ぎ、人がどかどか死ぬのは心地よいのであるが、オンリンとかシュンライとかホウショウとか、人名がぜんぶカタカナ表記で、大変複雑な心持である。一応「銀河英雄伝説」でもヤン・ウェンリーとかチャン・ウーチュンとか出るし、「七都市物語」の方にも あ、いつの間にか星野之宣大先生の短編が収録された単行本でとる、リュウ・ウェイとか出るのであるが、こっちは近未来なのでいいのである。漢字文化圏でカタカナ表記はなぁ、関川夏央「夏目さんちの黒いネコ」によると、大東亜戦争の敗戦後、地図で「中国の地名をカタカナ表記」するやうなお上からの通達があったさうである。これの歴史と伝統を深見真先生が襲ってゐると言ふやうに、繋がったらいやである。