すふゅー

果てしなく 草原が広がってゐる。
 稲刈りが終ってゐる水田も果てしなく広がってゐる。
 およよ。

 表現の不自由展が復活した。かなり噴飯ものの、東北で「放射能がどうの―!」といふ、ちゃんと展示を禁止された映像メディアが出る。これは普通に表現の不自由である。被災地の土人を冒涜するものにせよ、表現の不自由には違ひないが、あの朝鮮人慰安婦のおねいさん像が。アレがキッタネー像になったのはその辺で撤去してくださいと言ふ声にもめげずにずっと座り続けたといふアレを権威とする表現の自由に守られまくった経歴が。あー。

 『怪物幻想画集』原田実 森野達弥

 「人の造りしもの」

 「未踏地に待つもの」

 「廃墟より蘇るもの」

 「地中に蠢くもの」

 「水底に潜むもの」

 「天空より迫るもの」

 「次元を歩むもの」

 「心の闇に巣喰うもの」

 「血に渇くもの」

 「明日を継ぐもの」に分けて、若干昔の怪物を紹介する。
 出てくる先生方が、 

ジョルジュ・ラングラン(アレ)、

メアリ・シェリー(フランケンシュタインの怪物)、

ハーマン・メルヴィル(『独身者たちの楽園と乙女たちの地獄』での娘さんとベヘモスとしての工場 モビーディック)

アンブローズ・ビアス(モクソンのチェス人形)

エドガー・アラン・ポー(モルグ街の殺人の犯人、月人 エジプトのミイラ伯爵)

アーサー・コナン・ドイル(ロストワールドの恐竜 洞窟クマ クリスクコクとプラクサ、空中クラゲ バスカヴィル家の犬)

ハーバート・ジョージ・ウェルズ(吸血蘭 ハプロテウシス 火星人 モロク、エロイ込み 帝国アリ)

ウィリアム・ホープ・ホジスン(キノコ人間 『異世界を覗く家』の豚)

ジョージ・マクドナルド(リリス)

プロスペル・メリメ(イールのヴィーナス)

シオドア・スタージョン(It)

HPL(ウェイトリーの兄弟、『ピックマンのモデル』のグール、ナイアルラトホテップ クトウルー)

ロバート・ブロック(妖蛆)

ルイス・キャロル(スナーク)

ゴーゴリ(ヴィイ)

オーガスト・ダーレス(さみしい場所の怪物)

レ・ファニュ(カーミラ) ポリドリ(ルスベン卿) ブラム・ストーカー(ドラキュラ)

カレル・チャペック(山椒魚戦争のサンショウウオ)

ギイドモーパッサン(オルラ)

とまぁ豪華といふか濃い。

 ウェルズの説く、知的エリートSamuraiに率ゐられるユートピア全体主義国家みを見る著者は、若いころの作品『アリの帝国』をそのネガとする(p104)その他、『タイム・マシン』での発表時のエゲレス人のスペキュレイティヴな感じを指摘する(p100)。

 P54 CTHULHUは「クトウルー」表記

 前ツイッターで「キャトルミューティレーションて、UFOが牛とかを拉致するやつだと思ってた」といふ夥しい誤解告白ツイートに、生暖かく(「宇宙人が牛を攫って性器と血液を採ればよい」)フォローしてゐた著者はすでに1999年刊行のこの本で「1897年 カンザスで葉巻型の宇宙船が子牛を攫った」カンザス子牛強奪事件についてキャトルミューティレーションとの関連を示唆(p65)してゐる。

 ポリドリとバイロンツンデレ関係と、ルスベン卿とオーブレーとの関係が似るのはよいとして、吸血鬼の耽美性の始まりを指摘する上、カーミラアナグラム関係の他百合っちい点も指摘する。

 ドラキュラは「東欧系ユダヤ人」がモデルっぽいと指摘する。高山宏先生は、だるーんとした当時の英国へパワーをエンチャントするため、やつがトランスなシルヴァニアからやってきて、いろいろやってから還ると指摘してゐる。